いつも降りる駅

車内のアナウンスが駅の名前を告げる。 着かなければいいのに。着いたら、次の何かが始まってしまう。 とめどなく溢れ、流れてくる何かに飲み込まれてしまう。 僕が僕じゃなくなってしまう。 そんなことを考えつつも、僕の手は荷物をまとめ始めている。 なん…

シャンプー

いつもは軽く一回しか押さないシャンプーのボトルを強めに2回押して、頭を揉みくちゃにする。 鏡に映った泡の帽子を被る自分が少し面白くって、でもすぐ冷静になって激しい勢いのシャワーで泡を流す。 そうすると苛立たしかった何かも一緒に流れていくような…

ベッド

疲れ切った体をベッドに倒れ込ませる。 布団から伸びた無数の吸盤が僕の身体に吸い付く。 体と布団が溶け合っていく。 僕は布団だ。布団は僕だ。 そんなことを考えながら僕は微睡んでいく。

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